ビーペックで始める業務改善スタートガイド



【花咲爺の業務改善体験談】人事異動による業務ノウハウの消失を防ぐ!

昔話ではあるが以前勤めていた会社のSI子会社(I社)に出向していた時に
悲しい出来事に遭遇したことがある。

親会社のN支店にから

「受注量が急増し残業が続いている。
この状態が3年くらいは続きそうなので
システム化を進めないとまずい。相談にのってほしい。」

との相談が舞い込んできた。

その時はI社の執行役員をしていたのだが、
N支店に転勤で6年ほどいたことがある私に相談を受けたSEが面談を申し込んできた。

「あなたがN支店にいた時に、
受注量が増えそうだから、業務プロセスの中でネックになっているところをシステム化したい。
という理由でシステムを構築しました。
現在は、その時よりも受注量が少ないのにシステム化要望が来ています。
ちょっと変だと思いますのでN支店の様子を見てきてください。」
との話であった。

そこで営業の担当者と業務コンサルタントをつれて状況調査に出張した。

 

人の移動がノウハウ消失を招く

N支店の主要業務はM造船所向けの造船用鋼材を高炉各社から仕入れ納入することであった。

N支店から東京に戻ったのは8年前だったので
私がいた頃に一緒に仕事をした人は20人位いる支店員の内2名であった。
営業担当者は転勤で全員変わっており、事務職の人たちもその2人以外は初めて会う人ばかりであった。
そこで業務がどのように多忙なのかインタビューを進めたのであるが、
聞けば驚くような事実が明確になってきた。

以前私がいた時に開発したシステムは利用されておらず、マニュアル類もなくなっていた。

ここ数年は受注量が低迷し、仕入れ先にも余裕があって納期遅れなどはほとんどなかったこともあり、
以前開発したシステムを使うこともなく業務をこなすことができていた期間が長かったのだ。
そのためにシステムが忘れ去られていたのである。

さらに受注量が急増するときはM造船所だけでなく他の造船所も多くの仕事を取っているので
高炉各社への造船用鋼材の発注は多くなっており、
希望納期通りには鋼材が出荷されず、納期調整に大変な手間がとられるのだが
対応ノウハウも伝承されていなかった。

可視化でノウハウの消失を防ぐ

そこで支店長に相談し、現状の業務プロセスを可視化し、
  ・どこで問題が発生し、どこに原因があるのか調査すること
  ・受注量増大の経験がある私からそのようなときの対応ノウハウを支店員にレクチャーすること
を提案した。

業務プロセスを可視化することにより、
今起きている問題点はどこで、その原因はどこにあるのかを
関係者全員がおなじ理解のもとで議論を進めることができる環境が整備された。

また、繁忙時の対応ノウハウを理解することで順次業務の円滑化も進み、
即効性のある残業時間の削減が少し出来始めた。

また、既存システムの活用も順次復活し、問題点の70%は1年弱で解決できた。

M造船所からは

「発注した鋼材の製造進捗をいつでも確認できるようにして欲しい。」

との要望があったので、
製鉄所の製造進捗情報や中継ヤードでの入出荷状況をデータももらい、
M造船所の人にインターネット経由で状況開示するWEBシステムを構築した。

このような施策を打つことによってN支店メンバーの残業は激減。
M造船所の満足度も向上し一件落着となった。

しかし、ここで学ばねばならないのはことは
業務プロセスを可視化し、業務プロセスとシステムの関係を判り易くすると同時に
業務環境変化への対応方法を伝承していくことである。

後日談であるが、内部統制を導入する際に
N支店は業務プロセスが可視化されていたので円滑に対応が出来たとの話があり、
そこでも「業務プロセスの可視化をしておいて良かった。」と言われた様であった。

そして現在も業務プロセスの可視化資料は継続的にメンテナンスされている。
 

 

花咲爺

 

 

■BPEC Prject V4.0

BPEC手法全体像

簡単に短期で業務を可視化して、問題を抽出するツールです。
システム導入の際に、システムベンダーに要望を伝える上でも
一度お試しください。
商品詳細はこちら

■業務改善メールマガジン

次回のメールマガジンは、
『会社に無駄な業務ってあるの?』のタイトルで記事を掲載します。

よく「無駄な業務を撤廃する!」なんて言葉を耳にしますが、そもそも会社に
無駄な業務なんて存在するのでしょうか?
無駄な業務とは何か、どのように見つけて、どのように廃止するか。
これは意外と短期間で効果の出る業務改善ですので、是非ご覧ください!

ご覧になりたい方は以下のページ右側よりご登録願います。
メルマガ登録はこちら



最新Blog
  • 2022年12月15日(木)

    景気の波から学ぶ

    景気の波というのは一定の波形で浮かんだり沈んだりしています。 有名な景気循環論として4つの循環があります。 【キチン循環】 短期波動で在庫変動が起因によって起こ

  • 2022年11月17日(木)

    プロセスマイニングの落とし穴

    緊急事態宣言も解除され、コロナ禍も落ち着きを見せてきたかのように思える昨今 企業や、そこで働く人々のあり方には大きな変化が求められている。 働き方改革、DX、ニ

  • 2022年10月26日(水)

    オンラインな世の中を想像してみる

    先日、いつも行く飲食店に行きました。 行く道中にいつも混雑しているお店があり、 行きつけのお店も席があるかどうかが新型コロナウイルス蔓延前の話でした。 しかしな

メルマガ登録

BPデザイナーズでは、業務改善に関する事例やポイントを解説するメルマガを発信しています! 登録はこちら