業務改善の進め方
RPA導入の効果を高める方法
実は効果が出しにくいRPA
RPA元年と呼ばれる2016年以降、RPAが多くの企業で着目され、導入されるようになりました。
しかし実は、「RPAで大成功した」と言う話よりも「思ったより効果が出なかった」という意見を多く耳にします。
既にRPAを社内に導入して3~4年経過している企業も多いのではないでしょうか。
BPデザイナーズ主催の講演で「RPAは”Aさんがちょっと喜んだ”だけだった」という話をすると
うんうんと頷く方が多くいらっしゃいます。
すなわち、RPAの効果が局所的・限定的になってしまっている、というのはよくある話なのかもしれません。
これはRPA自体が超・部分最適になってしまっていることを示唆しています。
そもそもRPAを導入する時は、「自動化できそうな業務を洗い出す」ところから始めたと思います。
そうすると積極的な人が手を挙げて、その人の業務が自動化されます。
自動化された人は非常に喜びます。
これが局所的な部分最適です。
RPA化の労力は意外と高い
RPAを導入するためには、RPAが動くための「シナリオ」の作成が必要です。
但し、このシナリオを作るのにも労力がかかります。
人的余裕や金銭的余裕があれば一気に自動化もできるかもしれませんが、
多くの会社ではなるべく安く上げたいと思っています。
例えばシステムを再構築するようなタイミングで
データ連携をしたらRPAはいらないのかもしれません。
しかしシステム化や刷新の予算や時間が無いのでということでRPA導入を決めた会社は多いのではないでしょうか。
そもそもRPA化に労力をかけること自体に忌避感があるのです。
私はRPAを否定しているのではありません。むしろ歓迎しています。
つまり「少ない労力」で「大きな効果」があれば良いということです。
「Aさんが喜んだRPA」は決して良い導入例ではありません。
もちろん実証実験としての導入であればそれもありでしょうが、
RPAが本来目指すべきところは「作業の自動化」ではなく、「業務の自動化」です。
「Aさんが喜んだ」という効果は、ひとつのオペレーションがRPAによって自動化されたに過ぎません。
AさんのRPA、BさんのRPA、CさんのRPA、というように
属人的なRPAがどんどん作られたら、その先はどのようになるでしょうか。
RPAの効果を引き出すには
ある会社の例です。
この会社でもRPAを導入することになり、いくつかの作業の候補が上がりました。
しかしながら、まずは業務全体と業務量を把握したいということになり、
業務調査を行いました。
業務調査は、このような手順で行なっています。
(1) 業務の棚卸
(2) 業務量調査
(3) システム/データ調査
この調査から分かったことは、まず紙媒体のインプットの多さです。
この会社では紙媒体の情報を人手によってデータ化していました。
また、その後の業務プロセスをを見ると、
システムへ入力されたデータを紙に出力し、承認をもらって再び入力をする、という工程が存在していました。
こうした業務プロセスの全体像は、調査を実施したからこそ把握することができます。
紙のインプットは、そのままではRPA上で操作することができません。
ですから、こうした業務プロセスを変えないまま、RPAを導入しようとすると、
RPAが適用可能な範囲は限定されてしまいます。
一度データ化されたものは、一気通貫で業務プロセスの完了まで行かなければ意味がありません。
入力の二度手間、三度手間が発生してしまいます。
事前に業務調査によって作業のプロセスが把握されたことにより、
こうしたプロセス上のムダが発見することができましたので、
これを改善することにより、RPAの有効範囲を劇的に広げることが可能です。
理想としては、「最初から最後まで」RPAが自動でやってくれることが出来れば良いですが、
それが無理な場合でも、データをキャッチボールしながらRPAを動かしていくことが可能になります。
これが作業の自動化でなく、業務の自動化です。
また、RPA化に取り組む対象業務は、業務量の多い業務でなければなりません。
事前に候補として上げた作業ですが、この作業が自動化されたとしても、
部門全体として大きな効果が望めないことがわかりました。
そこで、先に実施した業務量調査を踏まえて、RPA化対象業務の見直しを行うことにしました。
選択の基準は、
部門内で業務量が多く、コンピューターを使っているもので、
業務プロセスを解析して自動化できそうな “業務”です。
そのような業務を選択して自動化することで、
少ないシナリオで高い効果が望むことができます。
まとめ
RPA化できそうな作業を自動化するのではなく、
自動化されたら効果が高い業務を抽出して、その業務が自動化できるかどうかを議論することが重要です。
目指すは一気通貫です。
例えば途中で人の判断が入るような場合も、
最初に判断してからRPAを起動するなど業務プロセスをRPA用に変えることも必要になってきます。
このような考え方で導入すると効果的なRPAの導入になるのではないでしょうか。
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