業務改善の進め方
「 無駄な業務 」の探し方
会社に無駄な業務なんてあるの?
よく、「無駄な業務を廃止する」という言葉を聞きますが、
企業に 無駄な業務 は本当に存在するのでしょうか?
もしも存在するなら、なぜ存在しているのでしょうか?
業務とは誰かが発生させるものです。
新たな事業や商品、顧客、サービス…
もしくはシステムの変更や仕様変更、法令変更への対応など、
様々な必要に応じて、「これまでになかった業務」が発生します。
業務発生時点では、無駄ということはまず無いように思えるでしょう。
ところが、実際の企業では、
「手が空いていて暇そうにしているから業務を発生させて、手の空いている人に与える」
ということは実はよくある話なのです。
また、
「無いよりあった方がいいけど、それほど重要ではない」
または、
「その時点では必要とされていたけれど、現在は必要とされていないのに業務を継続している」
実は企業には、そのような業務が結構埋もれているものなのです。
無駄の発生するプロセス
そもそも企業というのは、
業務があり、それをこなすために、業務の量に応じた要員数がいる。
これが適正なバランスであって、その考え方でいけば本来は無駄な業務など発生するはずはないのです。
ところが、このバランスか崩れる場合があります。
業務数とそれに伴う業務量以上に、要員が存在するということです。
典型なのは新卒一括採用です。
まずは人を確保して、人が余ったら相当の業務を与える。
ところが与えられた人はそれを自分の業務だと判断し、
「手が空いていたら」という枕詞が無くなり、もしかしたら残業をしてまでこなしているかもしれません。
もしかしたら、その業務を与えた人も、そのことをすっかりと忘れて、
まさか今もやっているとは思わず、放置しているのかもしれません。
業務というのは一度発生すると、
それを発生させた人、あるいは与えた人が
「止める」というまでは継続されてしまいます。
そうして業務が雪だるまのように増え続けていくのです。
会議などもそうですね。一度発生した会議は誰かが「止める」というまで、
参加者のほぼ全員が「無駄な会議だ」と思いながらも継続されるものです。
無駄な業務 の見つけ方
そもそも業務が勝手に発生すること自体が不自然なことです。
本来ならば、
1.業務を考案する
2.考案した業務を上申し、承認される
3.企業で定義され管理されている業務に新しい業務を加える
4.周知される
こんな手順で業務が発生するものなのでしょうけど、
多分、こんなことをしている企業は日本には1社も無いと思います。
こんなことをしていたら、機動力を失うというデメリットの方が大きいのです。
そこで、定期的な調査で業務を棚卸して
無駄な業務(今は不要になった業務、あるいは優先順位の低い業務)を見つけるのがいいのではと思います。
そもそもこのような業務はどこにあるのでしょうか?
基本的には、発生させた人と遂行している人にしか知り得ないものです。
発生・指示した人は忘れていることはよくある話なので、発生した人に聞いても出てきません。
では遂行者はどうでしょう?
その方も、無駄な業務だと思って遂行していないので、多分出てこないでしょう。
無駄な業務を発見するには、客観的かつ定量的な判断が必要となります。
見つけ方としては、
(1)属人化されている業務
無駄な業務は比較的多くの場合、属人化されています。
優先度の低い業務を複数の人に指示はしないでしょうし、
今は必要無くなった業務であれば、複数の要員で携わっていたら誰かが気が付くものです。
(2)かつ業務量の少ない業務
次は業務量に着目します。
業務量が多かったら、さすがに指示をしているものは気が付きます。
放置されてしまう業務は、業務量が少なく、目立ちにくくなっています。
「1人しか行なっていない業務で、業務量の少ないもの」を発見することで、無駄な業務を探しやすくなります。
業務の定量調査を実施し、業務量をパレート図で表現すると、ロングテールになりがちです。
そのロングテール部分、しっぽの先っぽに属人的かつ少量の業務がたくさん存在してきます。(下図)
その業務を洗い出して、まずは管理者(上長)にこの業務の存在意義を訪ねます。
それでわからなければ、次は本人に、
・その業務は何のためにやっているか
・その業務を止めると誰が或いはどの部署が困るのか
を訪ねます。
そして、その「困る相手」に直接、「この業務を止められると困るか?」を確認してみましょう。
そうすると、「たまにしか見ないなぁ」みたいな答えが返ってくることもあります。
実例として、誰も見ない書類を毎月作成して、ファイリングしていたということもありました。
見つけ方はわかったのですが、それを止めるのはどうしたらいいか。
「その業務は無駄な業務だったからもうやらなくていいよ!」
なんて言ったら、担当者の方は何と思うでしょうか?
非常に高い確率で、
「コノヤロー」と思ってしまうかもしれません。
「前回のを最後にもうやらなくて良くなりました。今までやってくれて有難う。」
みたいな労いの言葉は必要かと思います。
まとめ
- 業務を棚卸して、一人しかやっていない業務で業務量の少ないものを洗い出す
- その業務の存在意義を確認する
- やんわりと傷つかないように中止する
何か小さな業務改善のようにも見えますが、業務量は「ちりも積もれば」です。
手が付け易く効果の見える業務改善とも言えるかもしれません。
ちなみに今回は、「業務」「仕事」「課業」などを定義せずに、敢えて
「業務」という言葉に統一させていただきました。
戻る
- 最新Blog
-
2022年12月15日(木)
景気の波から学ぶ
景気の波というのは一定の波形で浮かんだり沈んだりしています。 有名な景気循環論として4つの循環があります。 【キチン循環】 短期波動で在庫変動が起因によって起こ…
-
2022年11月17日(木)
プロセスマイニングの落とし穴
緊急事態宣言も解除され、コロナ禍も落ち着きを見せてきたかのように思える昨今 企業や、そこで働く人々のあり方には大きな変化が求められている。 働き方改革、DX、ニ…
-
2022年10月26日(水)
オンラインな世の中を想像してみる
先日、いつも行く飲食店に行きました。 行く道中にいつも混雑しているお店があり、 行きつけのお店も席があるかどうかが新型コロナウイルス蔓延前の話でした。 しかしな…
- メルマガ登録
-
BPデザイナーズでは、業務改善に関する事例やポイントを解説するメルマガを発信しています! 登録はこちら