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「業務の棚卸」を組織の生産性向上に生かす職務設計とは

新型コロナウィルス感染拡大防止策の一環として政府からテレワークの推進が求められ、各企業は時差出勤や在宅勤務など様々な対策に取り組んでいます。
既存の社内制度では十分に対応できず、新たに在宅勤務制度の新設や就業規則の見直しを迫られることもあります。

こうした状況下において、定期的な人事評価・昇給昇格制度においても、在宅勤務では普段の部下の就業状況を確認することができず、コミュニケーションも必要最小限となってしまう為、運用の困難さが増大すると考えられます。
また、長期にわたるコロナ禍で経済の低迷が懸念されることから、企業運営を維持継続するための生産性向上とコスト削減も重要な課題となります。

こうした背景の中で、社員1人1人の業務内容を把握し組織の生産性向上につなげるためには、組織内にどのような業務が存在するか、その業務を誰が担当しているのか、業務の遂行にはどのようなスキルが必要なのかを把握する「業務の棚卸」と、棚卸結果に基づいた適切な業務の再配分が重要となります。また、政府の提唱する同一労働同一賃金の実現においても、業務の棚卸と再配分は有効な施策となります。

《業務の棚卸をする》

企業活動における「業務」とは、目的をもって遂行する価値創造のための活動です。
社員それぞれが遂行している業務の総和によって組織の生産性や業績は決定します。
ところが、実際の組織においては「自部門にどのような業務があるか分からない」「あの人が何をやっているか分からない」「どれくらい大変なのか分からない」といった曖昧さが存在します。これら個々人の行っている業務とその負荷を把握する作業が『業務の棚卸』です。

業務の棚卸において、弊社では業務の単位を『ひとまとまりの作業の流れ』としています。
単一の目的に向かって行われる一連の作業プロセスが一つの『業務』であり、仕事の配分の単位ともなります。

例えば、「見積書の作成」という業務には、見積依頼を受けてから見積書が完成するまでの一連の『作業』が含まれます。
こうした業務をなるべく簡単に棚卸するには、既存の役割分担表や体制図など組織内の資料を活用するとともに、BPECツールの持つ標準業務テンプレートなども活用できます。

《業務の困難度を知る》

業務の棚卸ができたら、次なる課題である「適切な業務配分」を目指すために、業務の難しさを把握します。

業務は組織の大きさや役割にもよりますが、1つの部門組織に大体200から300程度は存在します。
それぞれの業務の困難度を一定の基準で評価するのは非常に大変な作業となります。
そこで、洗い出された業務を「企画業務」「直接業務」「間接業務」「管理業務」など業務性質ごとにグループ化していきます。

例えば「営業方針の策定」や「年次予算策定」といった業務は大分類「企画業務」の中の「戦略企画」に該当する、
「顧客への商品説明」や「顧客との価格交渉」という業務は大分類「直接業務」の中の「顧客対応」に該当する、といった形で業務をグルーピングしていきます。
そしてグループごとに困難度を序列化することで業務遂行レベルを明確化します。これを弊社では「業務評価」と呼んでいます。

(参考画像:業務グループの評価がされた状態)

《社内等級制度と紐づけることで業務配分の適不適を知る》

業務評価されたものを社内の等級制度と紐づけることで、各等級のメンバーが遂行可能な業務が明らかになります。

社内の等級制度は通常、業務遂行能力や役割、業務範囲が向上・拡大することで上位等級へと昇格していきます。
困難度の高い業務は上位等級と紐づき、困難度の低い業務は下位等級と紐づきます。

さて、ここで先の業務棚卸結果に戻ります。
BPECツールを使用して業務の可視化がなされた場合、「組織内にどのような業務がどれくらいあって、誰が行っているのか」、が明確になります。
ここで着目すべき点は「誰が行っているか」です。業務評価と照らし合わせて検証すると、「上位等級の人が下位の困難度の業務を遂行している」「下位等級の人が上位の困難度の業務を遂行している」といった実態が見えてきます。

上位等級の人が下位の困難度の業務を遂行している場合、これはリソースの無駄遣いです。
上位等級になるほど人的コストも高くなりますので、生産性はどんどん下がっていきます。

また、下位等級の人が上位の困難度の業務を遂行している場合、在位等級以上に優秀な成果を出している人がいるということになります。
これはその人の業務遂行結果が評価・処遇に反映されていないという意味でもあり、人のモチベーション低下・人材流出へと繋がります。
同一労働同一賃金対応においても、業務可視化の結果と業務評価との照らし合わせで実態を把握することが可能です。

《職務設計と最適人材配置》

同等の困難度の業務を適宜まとめることで、「職務設計」が可能になります。

例えば6等級相当の業務「営業戦略の立案」と「年次予算の策定」は『営業マネジャー』の職務である、4等級相当の「顧客への商品説明」や「顧客との価格交渉」は『営業』の仕事である、といった形で職務とそれに付随する業務を設計します。
社内等級制度に裏打ちされた業務を用いて職務設計を行うことで、その職務を現在遂行することのできるのは何等級の人材か、職務を完遂するにはどのような業務を行わなければならないか、といったことが明確になります。

《さいごに》

社員ひとりひとりの専門職化が進みジョブ型雇用や欧米型人事制度への注目が高まる中、組織内に必要な業務をきちんと整理し、それを遂行する役割を「職務」として設計することは企業にとって様々なメリットがあります。
組織内に存在する業務それぞれの困難度が明確になることで、人材の最適配置が可能となり組織のコストパフォーマンス向上に寄与します。
また、上位職務の業務を少しずつ付与することで、人材の段階的育成にも活用が可能です。
リモートワーク前提の環境下においては、個々人の業務が明確になることで管理のしやすさに寄与します。
棚卸の過程で不要な業務のシェイプアップが図れることもあります。

弊社では、こうした考えをもとにBPEC業務の可視化を前提とした職務設計の提案も行っております。
ご興味のある方はお問合せフォームよりご連絡ください。

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