業務改善の進め方
業務の現状調査は難しい?
現状調査に時間をかけない
業務の定量分析というとどのようなイメージを持ちますか?
ストップウォッチを持って、ひとつひとつの作業のタイムを計るなんてことを想像したりしませんか?
日本では製造現場や物流現場、コールセンターなどでそのように細かい
単位で計測して、作業の生産性を出していました。
特に日本の製造現場での生産性の高さは世界に誇れるものだそうです。
それではホワイトカラーはどうでしょうか?
どうやってホワイトカラーの業務の時間を計ったらいいでしょうか?
ストップウォッチで計りますか?
ホワイトカラーでも流れ作業的な仕事であればそれもありかもしれません。
何枚の伝票を処理したとか、何件入力したとか。
でも多くの場合は、処理する作業内容に難易度のバラつきがあったり、それこそ電話なんかもかかってきて、”取ったもの負け”みたいなこともあります。
最も現実的なことは、毎日記入することです。
それをやっている会社もたくさんあると思います。
ところがこの方法には大きな問題があります。
これを実施されていた会社がありまして、そのデータを見せてもらったのですが、
担当者が勝手に業務を記載しているので、言葉がバラバラ、レベルがバラバラ、はっきり言って集計不能となっています。
そこで業務を選ぶような方法を取られている会社もあると思いますが、そうなると、随分粗い設定になっていないでしょうか?
突発的に発生した業務とか新しく発生した業務などは全て「その他」にするとか、
またはそのような業務が定義されていないので抜けの状態になって、どこかの業務にその時間が加算されていたりもします。
また、コア業務だけ設定されていてノンコアの業務が設定されていなかったりもします。
振り返り法の利点
そこで採用したいのが、「振り返り法」です。
これはある一定の期間分を振り返って記入する方法です。
これの利点は負荷が一番軽いということです。
調査票を作成して、これに入力してもらいます。
入力のレベル感を統一するために、事前に入力項目となる「業務の一覧」は作成しておくとより良いでしょう。
把握していない業務のみ追加で記載してもらいます。
下図は、業務の可視化ツール「BPEC」で作成した業務量調査票のイメージです。
あらかじめ定義された業務に、所要時間を入力するだけなので、1人あたり、およそ1時間程度で入力が可能です。
振り返り法の最大の欠点は「信ぴょう性」です。
昨日の朝ごはんですら思い出せないのに、過去を振り返って記入なんてできるものでしょうか?
この調査票では、感覚的に入力できる方法を取ります。
すなわち、日次業務であれば1日に〇時間、月次業務であれば月に〇時間というように、
普段の業務時間を思い出しながら入力してもらいます。
数字の正確性から言うと随分アバウトなものですが、しかしながら、それほど大はずれでもないという点があります。
つまりこの定量データを何に使うかということです。
製造現場のストップウォッチは理にかなっています。
1日に千回繰り返す作業があって、1回の作業時間を5秒短縮すると5,000秒すなわち約1時間13分の短縮になります。
ところがホワイトカラーの仕事においては、1回の作業時間を数秒短縮したところで、他で長電話でもしたらその短縮した時間は一瞬で吹っ飛んでしまいます。
必用なことは業務のボリュームを計るということです。
そのボリュームのある業務に着目して、その原因をつきとめ、改善の施策を検討するのが業務改善では非常に効率的な方法であり、且つ効果が可視化されます。
ありがちな失敗は、たいしたボリュームの無い業務なのに、声の大きい担当者が改善してくれと叫び、
「改善しても大きな効果が見られない」なんということがあるのです。効果は担当者が喜んだだけ・・・。
こういった事態を防ぐためにも、業務の定量的な把握は必要不可欠です。
まとめ
1.業務のボリュームを知るためだけなら負荷の低い「振り返り法」で十分
2.負荷の高い業務を改善すると改善効果も高い
3.改善結果を数値で見ることができトップに報告し易い
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