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業務改善の進め方

適材適所とは言うけれど。

 

 「適材適所」のイメージ

■「適材適所」とはなにか

「皆様の会社では、人員が適材適所に配置されているでしょうか?」
と質問をすると首をかしげる人がほとんどではないでしょうか。

なんで私が・・・、と思うことも
なんであの人が・・・と思うこともあるかもしれません。

そもそも適材適所とは何でしょうか?

単純に言ってしまえば、1人1人がその人の能力、経験、特性、場合によっては個性に基づいて、
それに見合った仕事や地位につくことが出来る状態、を指すのだと思います。

私どもは簡単なスキル分析をやっています。
但しこれは、特定の業務を遂行する上で必要なスキルの定義であって、人の能力を定義しているものではありません
例えば、「見積書を作成する」という業務に必要なスキルはどの程度か、
毎月の定期的な「月次レポート作成」業務に必要なスキルはどの程度か、など
業務に対してスキルが割り当てられていきます。

業務を遂行するのに必要なスキル

  • A:熟練、資格、役職を必要とする業務
  • C:教えるとすぐに誰にでもできる業務
  • B:それ以外

非常に単純な分け方です。実は2択なのです。
遂行するのが難しい業務ですか?簡単な業務ですか?と聞いています。
難しい、あるいは特殊な条件の必要な業務であれば『A』、
簡単な業務、手順が明確化されていて手順通りやればだれでも遂行可能な業務が『C』です。

それでも、判断がつかない場合もあります。
その場合は、『B』というスキルに仮定します。
すなわち、『A』の業務ほど熟練を要するような業務ではないが、
『C』というほど簡単・単純ではない業務が『B』となります。

もちろん、人によってこの判断にバラつきはありますが、ひとつの目安にはなります。
少なくとも、『A』の業務を『C』と言う人はいませんし、『C』の業務を『A』という人もいません。
おおまかな業務難易度の把握に活用できる分類方法となります。

そして、企業において人は単一の業務だけを行っているわけではありません。
『A』から『C』まで様々な困難度の業務が多数存在しており、その中のいくつかを自分の職務として遂行しています。

こうして個人の業務量をスキル定義に当てはめて分析すると、
難しい業務を中心に行っている人は『A』や『B』の業務の割合が多く、
簡単な業務を中心に行っている人は『C』業務の割合が多くなります。
この割合をBPデザイナーズではスキルバランスと呼んでいます。

■スキルバランスと要員配置

BPECの業務の可視化で、実際のこの「スキル分析」を行ってみると、
多くの企業で、役職の上の人が『A』や『B』業務を多く含み、
役職の下の人は『C』業務が大半を占める、というようなスキルバランスになっていることが多いことが分かります。

スキルバランスイメージ

そしてこのスキルバランスと人件費は比例するべきものだと思います。
すなわち、難易度の高い仕事を多く遂行する人は給料が高く、そうで無い人は低い。

適材適所には、人件費以外にもやり甲斐や意欲みたいに数値化されにくいものもありますが、
人件費との釣り合いもひとつの適材適所の指標にはなるのではと思います。

ところが、ここで以下のような問題が見つかる場合があります。
それは、逆転現象です。

つまり役職の高い(給料の高い)人に単純業務が集中して、
役職の低い(給料の低い)人が難易度の高い業務を多く担っているなどというケース。
このようなケースは実際の企業様においても散見されます。

具体的な例として、こんなパターンがあります。

営業部門において、上司が部下の営業に同行するのが大半の仕事としている場合。
営業する上で 「移動時間」は『C』スキルに相当します。
複数の部下の営業に同行している上司の業務量は、部下以上に『C』スキル業務の割合が増えてしまいます。

こんな例もあります。
事務をやっている人が誰かが休み、その代わりはその都度、管理者が行っている場合。
この場合も、メンバーの穴埋め業務に管理者が終始していると、
どうしても『C』スキル業務の割合が増えてしまいます。

このケースのように、組織的な役職階級とスキルバランスに逆転現象が発生してしまうと、
上司、管理者の業務が「簡単なものばかり」になり、
冒頭に述べたような「なんで私が・・・」「なんであの人が・・・」という不満へと繋がってしまいます。

■同一労働・同一賃金の実現に向けて

こうした要員配置と業務配分のアンバランスには、さらに深刻な問題もあります。
それは、正社員と非正社員がほとんど同じスキルバランスの時です。

通常、人件費に差があるのは業務内容に差があるからです。
ですから業務のスキルバランスは当然、役割に応じたものでなければなりません。

つまり、正社員と非正社員の人件費に大幅な差がある場合は、
正社員に高スキル業務の割合が高く、非正社員は低スキルの業務で構成されている、ということになります。
逆に言うと、業務の内容や困難度に明確な有意差が認められないのであれば、雇用形態を問わず同じ待遇をすることが求められます。
これが同一労働・同一賃金です。

同一労働・同一賃金の理念に基づいて、正社員と非正社員の人件費に差をつけるのであれば
遂行する業務やその業務に必要なスキルも明確にしなければなりません。

こうした社内の要員配置・業務配分の適正化を実現するためには、
まずは現在社内で遂行されている業務、業務量とその遂行スキルを明確にする必要があります。
その上で、それぞれの役割や役職に見合った業務配分を行っていく必要があります。

ジョブデザインイメージ

まとめ

1.現状業務を可視化したら業務スキルもある程度の目安をつけます。
2.人件費に見合った配置になっているかを見てみます。
3.人件費に見合った配置を考えます。それが同一労働・同一賃金の一歩です。

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