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システム開発は過度な期待で失敗する

今も昔も、システム開発にまつわるお悩みはつきない。

引用:クリストファー・アレグザンダー『オレゴン大学の実験』

システム開発の失敗、と聞いたときに上記の絵をご存じの方も多いのではないだろうか。
日本では2000年代にITビジネスにおける失敗例として流行した図になるが
元をたどると1970年代にアメリカの産業界で既に流行した作者不明の風刺画のようである。
引用:https://www.businessballs.com/amusement-stress-relief/tree-swing-cartoon-pictures-early-versions/

DXと騒がれている昨今でも、いまだにこのシステム開発あるあるは繰り返されている。

このお話では最後に、「実は顧客が求めていたものは木につるしたタイヤでした」といったオチがつき、
「顧客は本当の要望を伝えられないもの」として風刺されているが、
ではなぜこのようなすれ違いが発生してしまうのか。
今回は、「顧客のコンサルタントに対する過度な期待」に注目したい。

コンサルタントがもたらす成果は、その個人の知見や能力に左右されるところが非常に大きい。
彼らは一般的に非常に優秀な「聞く力」を持っている。
しかし、顧客が求める(またはそれ以上の)成果をもたらすためには
その背景に、その業界や業務に対する専門的な知見が必要となってくる。

(他の会社ではこうだから)こういうことを言いたいのではないですか?
(他の会社ではこうしているのに)どうしてこうしないのですか?
(他の会社ではこう出来たから)こうしたほうがいいのではないですか?

第三者的な目線というのは、システムの開発や解決策の考案において「気付き」のキッカケとしては時に非常に有効だ。

ところが、そこに過度な期待を加えてしまうと
こんな当たり前の(と思っている)ことは伝える必要がないのではないか?
(優秀なコンサルタントなら)このくらいのことは分かってくれて当然だろう。
と思ってしまう。
ここにコミュニケーションの大きなギャップが生まれるわけだ。

業務の捉え方は企業によって千差万別である。
同じ呼称で呼ばれている業務でも、A社とB社では作業工程が全く違うなんてこともある。
仮に非常に優秀なコンサルタントがいたとして
そのコンサルタントが自分たちの業務を全て網羅し、理解してくれていると考えること自体がお門違いなのである。

自社の業務を一番把握しているのは誰か…
言うまでもなく、実際に業務に携わっている自社の人間だ。
RFPの作成段階で「今本当に必要なのは、木につるしたタイヤなのだ」と
きちんと現状を可視化し、ゴールを明確化したうえで
課題や要望としてシステムベンダーに提示することこそが肝要なのではないだろうか。

PECOROS

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