ビーペックで始める業務改善スタートガイド



業務改善スタート時点でチェックすべき「進め方パターン」

《業務改善には2種類のスタートパターンがある》

業務改善のパターン、と聞いて皆さんがすぐに思いつくのは「トップダウン」パターンと「ボトムアップ」パターン、でしょうか。でもここでは別の観点から見ていきます。
業務改善をする、となったとき、スタート時点の「課題感」でパターン分けが可能です。1つは、「我が社でもRPAを導入しよう」「電子承認の導入に取り組む」「システムを刷新する」といった大まかな導入すべきソリューションが決まっていて、それに向けて業務の可視化や改善に取り組んでいく、というパターン。
もう一つは、「残業時間を減らさなければいけない」「生産性を高めたい」など、達成したい目標だけが決まっていてソリューションが決まっていないパターンです。
ここでは便宜上、前者の導入したいソリューションが決まっているパターンを「ソリューションスタート」、後者の目標が決まっていてソリューションが未定のパターンを「オブジェクトスタート」と呼びます。

実は、ソリューションスタートとオブジェクトスタートでは業務改善への取り組み方は異なってきます。

《業務改善の対象範囲がちがう》

■ソリューションスタートの場合
ソリューションスタートのプロジェクトでは、RPAや電子承認システム、もしくは新しい基幹システムなど導入したいソリューションに紐づいて「そのソリューションに関連する業務」がソリューションへの組み込みの対象となります。したがって、ソリューション導入の前段階において、「組織内の業務の内、当該ソリューションが関わる業務は何か」の洗い出しが必要となります。ここで洗い出しが漏れていると、後から実装段階において「この業務はどうすればいい?」「この業務ができなくなった」などの不具合が生じたり、それに対応するための追加の開発が必要になって開発期間が延びたりする可能性があります。

■オブジェクトスタートの場合
一方、オブジェクトスタートのプロジェクトにおいては、まず何を対象として業務改善や見直しに取り組むべきかが定まっていませんので、達成したい目標に応じて改善対象となる業務を特定する必要があります。例えば「残業時間の削減」が目標であるならば、「時間のかかっている業務はなにか?」を探し出し、負荷の高い業務にターゲットを絞って改善に取り組むことで目標達成しやすくなります。

《確認すべき内容がちがう》

■ソリューションスタートの場合
また、対象範囲を確定した後に「その業務をどうするか」を考えるためには、現状どのように業務に取り組んでいるのかを知る必要があります。ここでも、パターンによってその取り組み方には違いがでます。
ソリューションスタートのプロジェクトにおいては、「その業務がターゲットとなるソリューションに組み込めるかどうか」もしくは「組み込むためにはどうすれば良いか」を確認していきます。
通常の業務において、人は様々な判断を行いながら業務を遂行していきます。また、業務遂行の手順も人によってまちまちであることが多々あります。しかしながら、システムへと組み込むためにはその判断をパターン化し、判断基準を明確化した上でプロセスを確定する必要があります。すなわち、通常遂行している業務をまず「手順化」したうえでシステムに組み込むという流れとなります。
私も実際に特定業務のRPA化に携わったことがあります。その際、最初に実施したことは対象となる業務の詳細な業務フローを描くというものでした。「誰でもそのフローを見ればその業務を遂行できる」レベルまで詳細に手順を記述した上で、それをRPAシナリオへ展開していくのです。この作業は同時に「簡素化」という側面を持ちます。システムに組み込むにあたって、人によってやり方の異なる業務を1つの手順として確立し、誰でも出来るものに変えていくのです。結果として、仮にRPA導入が実現しなかったとしても「手順化」「簡素化」という成果を生み出すことが出来ます。

■オブジェクトスタートの場合
オブジェクトスタートのプロジェクトにおいては、「残業時間を削減する」という目標の場合は負荷の高い業務を対象とする、といった具合に対象業務が目標の達成に寄与するかどうかで対象業務を選んでいますので、確認すべき事柄は「なぜ負荷が高いのか」「どうすれば負荷を減らせるのか」といった目標に直結した観点になります。ここでも、業務フローを描くことによる業務の詳細把握は有効な手段となります。業務の詳細を確認する際のポイントは「時間がかかる作業」「難しい作業」「品質にばらつきが出る作業」など、いわゆるボトルネックになる箇所を業務手順の中からを探しだす、ということです。単に「負荷の高い業務」といっても、人手がたくさんかかっているのか、作業に時間がかかっているのか、待機時間が長いのか、など理由は様々です。これを特定することこそが有効な業務改善施策へと繋がっていきます。

このように、プロジェクトの初期段階、現状把握だけでもスタートパターンによって注意すべきポイントが異なることが分かります。当社の運営するポータルサイト「業務改善スタートブック」では、これらのプロジェクトのパターンごとの失敗しやすいポイントや進め方のポイントの解説、役立つコラムの提供を行っています。ご自身の取り組む業務改善プロジェクトがどちらのパターンなのかを見極め、効率的にプロジェクトを進めることの一助となれば幸いです。
K-Akiba

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